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2014年10月

2014年10月27日 (月)

≪声の幽韻≫松平頼則から奈良ゆみへの書簡 61

松平頼則氏に関しての奈良ゆみさんの所蔵する手稿など 45
(「松平頼則氏から奈良ゆみさんへ送られた手紙Fax」  第44回


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(竹島善一氏撮影。書斎で1998年頃)


<2001年8月20日>

Chère Yumi
 
ずい分長い間Faxを書かなかった
気がします。
8月20日にYumiがパリに戻るというので
それは今日なのでFaxを書きます。
これと同じ頃、Mr.TakeshimaにParisに
送ることを頼んである ①百人一首(dédié à Yumi)
                      ②Jeu de cartes (   〃  )
が着くと思います。 
届いたらFaxを下さい。

しばらくぶりのFaxに、私のあまりよくない
健康状態を書くのも気がひけますが、
何とか生きているという現実です。
では取り急ぎ以上
Je t’aime infiniment !
Yoritsuné


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(竹島善一氏撮影。ジェレミー・ドレイク氏と1998年頃)

(編者注/Mr.Takejimaは、竹島善一氏。奈良ゆみ氏によれば「大泉学園のうなぎ屋さんで、あるとき宇佐見英治さんに昼食に招かれて以来、頼則先生はおやじさんとすっかり意気投合され、亡くなられるときまで、東中野に通われて先生の良い友人でお世話もされていました。音楽の感性と教養はもの凄いものです。竹島さんは頼則先生をお訪ねするたびにカセットにお話を録音されていたので、膨大な量があるそうです。それも貴重なものですね。彼は写真集も出しておられます」。
Paris は、奈良ゆみ氏が滞在しているパリ。

 百人一首は藤原定家が京都・小倉山の山荘で選んだとされる小倉百人一首。Vocalises en forme de tanka (2001)-Hyakuninn ittshuとして作品目録に記載されている。『短歌の形式によるヴォカリーズ―百人一首』(2001)
dédié à Yumiは、ゆみに捧ぐ。
 Jeu de cartesは、カルタ遊び。作品目録には未記載の作品。

Jeremy_drake98315

(同上)

松平頼則作品目録は仏語版だが、作成したのはジェレミー・ドレイク氏。Jeremy Drake氏はサラベール出版社に努めていたが、後に奈良ゆみ氏の音楽的な事務を手伝い、松平頼則氏のヨーロッパでのプロジェクトに力を注いだ。彼の尽力による「松平頼則作品目録」は重宝しているが、求め得る限り最も正確なものだ。
旧稿<1996年3月27日>その3に彼の名が出ていた。
ドレイク氏の近況について奈良ゆみ氏によれば「ジェレミィ・ドレイクは当時松平のスコアの整理をお手伝いしていて今の作品リストは彼が作りました。現在はイギリスに帰り音信が絶えています」とのこと。
Je t’aime infiniment !  Yoritsunéは、私はあなたが限りなく好き!頼則)。


98317

(竹島善一氏撮影。書斎で1998年頃)

(それではまた、次回更新時に)。

2014年10月20日 (月)

≪声の幽韻≫松平頼則から奈良ゆみへの書簡 60

松平頼則氏に関しての奈良ゆみさんの所蔵する手稿など 44
(「松平頼則氏から奈良ゆみさんへ送られた手紙Fax」  第43回


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(橋口譲二氏撮影。奈良ゆみ氏蔵)

(編者注/2001年の書簡を年頭から順に掲載してきたが、<6月>のものが欠落。私がお預かりした中にはないし、奈良ゆみ氏のお手持ちの中にも現在の所見当たらないままだ。奈良ゆみ氏によれば「私が日本にいたのかも」ということで、書簡は必要なかったのかも知れない。当時の奈良ゆみ氏の公演は以下のとおりである。

01/05/16 リサイタル 松平頼則声楽作品集 松平頼則 

マルセイユ現代音楽フェスティヴァル マルセイユ フランス   ピアノ:棚田文紀

01/06/04   フォーレ、ドビュッシー歌曲 

津田ホール フォーレ協会コンサート 東京 日本    ピアノ:寺嶋陸也

01/06/07  モノオペラ 「人間の声」 プーランク 

新国立劇場 東京 日本 演出:ミッシェル・ワッセルマン  ピアノ:寺嶋陸也

01/06/15  モノオペラ 「人間の声」 プーランク

神戸新聞松方ホール 日本 演出:ミッシェル・ワッセルマン  ピアノ:寺嶋陸也

01/07/28  リサイタル ドビュッシー 松平頼則 メシアン歌曲  

フェスティヴァル・オリヴィエ・メシアン グラーヴ フランス  ピアノ:イリナ・カタエヴァ)。

3300

(同上)


<2001年7月3日>

Très chère Yumi

Fax ありがとう。(明日Mr.TakejimaにManuscript送らせます)。

今日100曲目が終ったところ。

そのことを知らせようと思っていました

(編者注/Très chère Yumiは、とてもかわいいゆみ。Mr.Takejimaは、竹島善一氏。奈良ゆみ氏によれば「大泉学園のうなぎ屋さんで、あるとき宇佐見英治さんに昼食に招かれて以来、頼則先生はおやじさんとすっかり意気投合され、亡くなられるときまで、東中野に通われて先生の良い友人でお世話もされていました。音楽の感性と教養はもの凄いものです。竹島さんは頼則先生をお訪ねするたびにカセットにお話を録音されていたので、膨大な量があるそうです。それも貴重なものですね。彼は写真集も出しておられます」。
Manuscriptは、マニュスクリプト。写本)。

元々このProjectは芸術的に高いものを

狙っていたわけでなく、三好達治の詩を

作っている時に 偶然日本の歌には

3という数字がその構成にあるのに

気がついて(体の苦痛を pour n'est pas penser

するために)書き始めたものです。

(編者注/Projectは、プロジェクト。pour n'est pas penserは、忘れさせるために)。

でも100となるとかなり手まと時間がかかりました。

6―9―6―9―9 歌うための5,7,5,7,7

にrealiserしたもの。

 

6 はるすぎて 9 なつきにけらし

6 しろたえの 9 ころもほすてふ

6 あまのかぐや 3 ま

Img037

(編者注/realiserは、実現化。上の画像のように書簡に記されている)。

まだ他の歌を分解すると例は沢山あります。

9が〔4 + 5〕だったり(時間のひまがあったら遊んでみて)

私の作品をinterpreter して下さること 私の一生の

深いremerciementsです。Moscow にはPrintcenterが

確かに送りました。歯を心配しています。お大事にね!

Je t’aime infiniment !  Yoritsuné

4301_2

(編者注/interpreterは、演奏。Remerciementsは、感謝。Moscowは、モスクワ。Printcenterは、プリントセンター。送られたのは『弦楽四重奏曲第2番』。

http://masa-yamr.cocolog-nifty.com/blog/2014/10/58-b766.html

Je t’aime infiniment !  Yoritsunéは、私はあなたが限りなく好き!頼則)。

(それではまた、次回更新時に)。

 

2014年10月14日 (火)

≪声の幽韻≫松平頼則から奈良ゆみへの書簡 59

松平頼則氏に関しての奈良ゆみさんの所蔵する手稿など 43
(「松平頼則氏から奈良ゆみさんへ送られた手紙Fax」  第42回


<2001年5月27日>

(編者注/『いにしえの日は』の手書き楽譜のみが送られていた)。


1_2

2

Photo

2001528日> (再掲載)

Chère Yumi

 

調子がよくないので、三好達治の詩

清書せずに草稿で送りました。

読みにくいでしょう。

今日Print- centerに清書してもらって

送ります。

 

気付いた点はリズムの構成です。

3が重点です。そしてその加え算の9も。

 5          4

例えば ♪♪♪♪♪|♪♪♩| = 9

 いにしへの 日は

 

♪♪♪|♪♪♪|♩♪| = 9

ながき は る ひを

 

その他

 

Je t’aime

Ton Yoritsuné

 

(編者注/Chère Yumiは、かわいいゆみ。Print- centerは、プリントセンター。

Je t’aime Ton Yoritsunéは、愛しています。あなたの頼則。

Tatsuji

 

三好達治1900-1964は日本を代表する詩人のひとり。CD『声の幽韻 松平頼則作品集Ⅲ ALM / ALCD94に収められている《いにしへの日は》2001が該当曲。奈良ゆみ氏の解説を引用する。
 

「この無伴奏の声の為の曲は奈良ゆみが詩を選び、2001年の5月に作曲された。今までになかった(古今集、南部民謡など初期の作品以来)一シラブルに一音をつけるという書き方で、その後、同年8月には同じ書法で『百人一首』が書き上げられた。

『また新しい書法を見つけたよ!』(松平頼則のメモより)」(奈良ゆみ)

 

 

いにしへの日は   三好達治

 

いにしへの日はなつかしや

すがの根のながき春日を

野にいでてげんげつませし

ははそはの母もその子も

そこばくの夢をゆめみし

ひとの世の暮るるにはやく

もろともにけふの日はかく

つつましく膝をならべて

あともなき夢のうつつを

うつうつとかたるにあかぬ

春の日をひと日旅ゆき

ゆくりなき汽車のまどべゆ

そこここにもゆるげんげ田

くれなゐのいろをあはれと

眼にむかへことにはいへど

もろともにいざおりたちて

その花をつままくときは

とことはにすぎさりにけり

 

ははそはのははもそのこも

はるののにあそぶあそびを

ふたたびはせず


(それではまた、次回更新時に)。


2014年10月 6日 (月)

≪声の幽韻≫松平頼則から奈良ゆみへの書簡 58

松平頼則氏に関しての奈良ゆみさんの所蔵する手稿など 42
(「松平頼則氏から奈良ゆみさんへ送られた手紙Fax」  第41回

276page001


2001514日>

 

Chère Yumi

 

Le 13 maiFaxrépondre

 

(編者注/Chère Yumiは、かわいいゆみ。Le 13 maiFaxrépondreは、<奈良ゆみ氏からの>513日付のファックスに返事)。

 

 

1. 催馬楽 Saïbara

 美濃山 Minoyama

催馬楽はもと醍醐天皇の一般的謡歌で

当時の好楽家が弾琴の為の歌曲にarangerしたもので

無伴奏歌曲としてではなく、私流に“ à la maière de Saïbara  ”

とするべきでしょう。

 詞の要約は

神聖な場所に生いている柏の木を見るのが尊くもたのしい。

つまりsymboleとして(一種の信仰的な歌詞)

 

(編者注/arangerは、アレンジ、編曲。à la maière de Saïbaraは、催馬楽の様式で。Symboleは、シンボル、象徴)。


276page002

 

 

2. 朗詠 紅葉

漢詩漢文の佳句を愛誦することに始まったもの(朗詠のジャンル)

 峰の紅葉の濃淡に

 対するに斜岸の雪の遠景の美しさ

 

3. 声明 陪臚

昔、宮中の行事(仏教的)として声明が行われた。

“極楽浄土・蓮華池の波の妙なるめでたさ”

をたたえた詞

 

(編者注/上記3曲は『三つの古い日本の歌』(1999)。「催馬楽 美濃山」と「声明 陪臚」がCD《声の幽韻 松平頼則作品集Ⅲ 奈良ゆみ(ソプラノ)》に収められている。ALM RECORDS ALCD-94。旧稿にもしばしば曲集について言及されている。

http://masa-yamr.cocolog-nifty.com/blog/2014/08/53-4cdd.html


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2 QuatuorPrint centerCopyして

Moscowに送る手配になっています。

 

(編者注/2 Quatuorは、『弦楽四重奏曲 第2番』。フランス語の作品目録には、この編成〈ヴァイオリン2本、ヴィオラ、チェロ〉の曲はQuatuor à cordes n° 1 1949)とQuatuor à cordes n° 2 1951)の2曲が記される。

Print centerCopyは、プリントセンターがコピー。Moscowは、モスクワ。

 

奈良ゆみ氏からのお便りでは、この曲は「確か、一度庭の焚き火に投げ込んで焼き捨ててしまわれたのですが、NHKに残っていた、とお伺いしたように憶えています。とても美しい曲です。録音もカセットで持っている筈です」。)


Quatuor__matsudaira274page001

 

 

vendredi dernièreに病院の定期検診

血圧その他の数値はpassable

やはり夜中はつらい:

Concertoは あと一週間位かかるでしょう

 

取り敢えずréponsesのみ

 

(編者注/vendredi dernièreは、先週金曜日。Passableは、まずまず。

Concertoは、『ピアノ協奏曲第3番』。詳しくは前項に。

http://masa-yamr.cocolog-nifty.com/blog/2014/09/57-f81a.html

 

Je t’aime comme toujours 

Ton Yoritsuné

 

(編者注/Je t’aime comme toujours Ton Yoritsunéは、「いつものようにあなたを愛して あなたの頼則」)。

(それではまた、次回更新時に)。

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