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2013年4月16日 (火)

わが心の自叙伝―横井和子先生がお書きになったもの 15

わが心の自叙伝 横井和子 第14回

(前項からの続きです)

 赤松家の疎開先の四国に連れて行き、しばらく一緒に暮らして、従姉妹(いとこ)たちと仲良く遊び、皆様になじむのを見届けて、帰ってまいりました。

 別れの日には、母が秋雄を背負って駅まで見送ってくださったのが目にやきついております。

 そして、帰りの船の中で母子連れの方と同室になり、『あきちゃん』という名のお子さんで、その幸せそうな会話をききながら私は神に祈って、胸が張りさけそうな悲しみに耐えました。

 その後、母をはじめ主人の姉ご夫妻・色川幸太郎様(元最高裁判所判事)、百合子様のご厚情のもとに、弟の二郎様、恵美子様の子供として、愛情を注いで秋雄を育てて下さいました。

History1

(色川幸太郎 元最高裁判事 1903-1993)

 家の事情があったとはいえ、子供を手もとで育てられなかったことを私は、息子にも主人にも、心労をおかけした赤松家の皆様にも心から申し訳なく思っております。


 私が女手一つで育て上げたように言って頂きますことがあり、心苦しくてなりませんので、この機会に大変くどくどと書かせて頂きましたが、お赦(ゆる)し頂きたく存じます。



Liszt

(フランツ・リスト 1811-1886)


 戦時中もピアノの音が外にもれますと国賊とののしられたりする中で弾いておりましたが、終戦後はおいおいに音楽界も、BK(編者注/JOBK。NHK大阪放送局)の放送や演奏会などで息を吹き返してまいりました。


 私は東京音楽学校を卒業する時、安宅賞を頂き、昭和17年2月、読売新聞社主催の新人演奏会にリストの「メフィストワルツ」を赤松和子の名で弾いてデビューいたしましたが、23年7月には、私よりずっとお若い神沢哲郎様(チャイコフスキー「協奏曲第1番」)、徳末悦子様(当時田中悦子様、ベートーヴェン「協奏曲第5番『皇帝』)とご一緒に、井口基成先生の第2ピアノで私は、横井和子に復籍してリスト「協奏曲第2番」で再デビューをいたしました。



Tokusue

(徳末悦子先生が芦屋・山村サロンで会をなさった時の記録。山村サロン「会報」Vol.21)
http://www.y-salon.com/review-vol.21.htm




 その日には色川幸太郎様ご夫妻がお心にかけてくださり、ご来臨いただいて、ありがたくうれしく思いましたことでした。


 その翌年、当時の関響(編者注/関西交響楽団。のちの大阪フィルハーモニー交響楽団)とグリーグの協奏曲を弾く機会があり、はじめて指揮者の朝比奈隆先生と光栄な共演をさせて頂きました。それ以来今日まで、お支え頂いたご恩は言い尽くせぬほどでございます。


20130207221436

(朝比奈隆氏 1908-2001)
(この項、終わります。続きは次回をお楽しみに)

 

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コメント

はじまめして
私の父、「神澤哲郎」が昨年末に亡くなり、父に関することをネット上で調べておりましたら、こちらのブログにたどりつきました
(横井和子先生の記述の中に父の名前があったからです)

私が幼少の頃に実際にお会いした音楽家の皆様の記事は、非常に興味深く読ませていただいております。

今週の21日に、父の偲ぶ会が神戸外国倶楽部で父の門下生の方々によって催されます
そこでのスピーチで父の当時の時代背景等、参考にさせていただく予定でございます
今後とも、楽しみに読ませていただきます
失礼します

神澤

神澤様

ブログをお読みいただき、ありがとうございます。

横井先生の「わが心の自叙伝」に登場するお名前は、もう伝説的な先達が多いので、このようなご連絡があるとは思いもかけないことでした。お父様のためにも嬉しいです。

21日のお集まりがご盛会でありますように。お話には、どうぞご自由に記事をご参考になさってください。

ご清祥を祈ります。

山村雅治

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