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2010年11月19日 (金)

ザ・コレクション・ヴィンタートゥール その6

ザ・コレクション・ヴィンタートゥールを神戸の兵庫県立美術館へ見に行きました。
その6です。

ザ・コレクション・ヴィンタートゥールの最後の部屋は「20世紀Ⅲ 素朴派から新たなリアリズムへ」。
アンリ・ルソーを見ることができて、さらに進むとジャコメッティ[1901-1966)の彫刻があり、絵がありました。ブラヴォー!
2006年に兵庫県立美術館で「アルベルト・ジャコメッティ」展で彼の作品を見て以来だったので、これは嬉しかった。

展示されていた彫刻は「横たわる女」(1929)。これだけが初期の作品で丸みが表現されています。「林間地」(1950)、「ディエゴの胸像」(1955)。絵は「座って新聞を読むディエゴ」(1952-53)。

ジャコメッティはスイスのボルゴノーヴォに生まれ、この展覧会にも展示されていた父のもとで油絵などを学びました。1922年、パリへ出てキュビスムの影響を受けた彫刻を製作。1930年からシュルレアリスムの運動に参加。
大戦中の1941年から45年まではジュネーヴに留まるほかなく、1946年、パリへ戻ったころには独特の細長く突き詰められた人体の造型が確立されていましたv。

高校生のときから彼の彫刻の造型が好きでした。彼と親交が深く、絵と彫刻のモデルとして繰り返し表現されもした矢内原伊作の『ジャコメッティとともに』が1969年に筑摩書房から出て、それを高校の図書館でむさぼるように読みました。

のみならず矢内原伊作は、法政の文学部教授に1970年になっていて、72年からそこへ進んだ教養課程で彼の講義を受講しようと思えばできたのです。しかし、しなかった。すでに詩人の群れの中にいて美術は後回しになっていたのです。そして1973年、当時の兵庫県立近代美術館で「ジャコメッティ展」開催。

それまでは彫刻といえばロダン。家にあった美術の本でもロダン以外では女体が美しいマイヨール、ベートーヴェン像など男性的な造型がすばらしかったブールデルどまり。
彼らの彫刻は、いわば彫刻の具象であって、ジャコメッテイは彫刻という分野で抽象へ突き抜けたと理解しています。いや、一度突き抜けて、再びぎりぎりの具象へ戻ったというべきでしょう。

「どうしてそんなに細長くつくるのか」と人に問われたときに、ジャコメッティは「だって、そう見えるから」と答えました。彼は器官をそなえる人体をつくることよりも、一途に垂直に天と地を貫く人間の精神体を造型したのです
。飾りはいらない。飲食と排泄、睡眠さえ精神にとってはいらぬもの。そうとでも言いたげな細い棒のような「人間」の像。

絵は闊達です。いずれも早い線で仕上げられていて生きています。
これでザ・コレクション・ヴィンタートゥールは完結です。12月26日まで神戸の兵庫県立美術館で開催されています。

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